校長より
2023.09.05
丘の学び舎 その149
夏休み明け2週目も残暑続きですが、学校生活は通常の活気が戻って来ています。このところ、「100周年」という言葉に出会うと、「小林聖心と同じ時」と反応してしまいます。先日もそうでした。関東地方に未曾有の被害をもたらした関東大震災がおこったのが、1923年つまり100年前の9月1日です。今では防災の日となった9月1日には、「関東大震災から100周年」と、盛んに報じられていました。
1923年9月1日。東京の聖心では、ヤン・レツル氏設計の本館校舎を除いて、すべての建物が壊れましたが、幸い聖堂で昼の祈りを捧げていたシスター達は全員無事でした。崩れたレンガの山の中から聖体顕示台(イエス様のお体であるご聖体を顕示するための台)を拾い上げて別のところに移し、その前で祈り続けたそうです。
この大震災の後、東京聖心の子どもたちが何人も住吉聖心(小林聖心の前身)に疎開してきました。遠方から東京の聖心に入り、寄宿生活を送っていた生徒たちは、住吉聖心に預けられることになったのです。手狭な旧別荘の学院は満員となり、いよいよ本格的な学院建設のため、広い敷地を探すこととなりました。そして、見つかったのが、この小林の地です。学院建設が急ピッチで進められました。関東大震災を教訓に、アントニン・レーモンドは、大地震にも耐えられる頑丈な本館校舎を建てました。壁は厚く、窓が小さいのも、そういった配慮といえるのでしょう。お陰様で、阪神淡路大震災の際は、建物自体びくともせず、しっかりと立っていました。
色々な歴史が交差しながら、100年の時が流れました。そして、今年、また新しい歴史を紡いでいきます。