校長より
2021.11.29
丘の学び舎 その150
11月も明日で終わり、いよいよ師走がやってきます。朝晩、すっかり冷え込みが厳しくなりました。秋色一色の小林の丘では、みこころ坂を上り下りする方々がしばし足を止め、樹々の色づきを楽しんでくださっています。子供たちは、丘一面に広がる秋を全身で感じ取りながら、何を心に焼き付けているのでしょうか。
この季節、私の一番好きな小林聖心のスポットは、校舎から正門に降りる時、右手に見えてくる眺めです。赤とも黄ともいえない微妙な色が重なり合い、得も言われぬ境地です。
キャンパスを歩いていると、八木重吉の『素朴な琴』という詩を思い出します。八木重吉の数ある秋の詩の中でも、特に好きな作品です。
この明るさのなかへ
ひとつの素朴な琴をおけば
秋の美くしさに耐えかね
琴はしずかに鳴りいだすだろう
秋の美しさに耐えかねてほとばしり出る妙なる響き。11月は、その響きに耳を傾けながら過ごす毎日でした。
キリスト教の教会では昨日から待降節が始まりました。一年の中で、「聴く」ことを学ぶ季節です。待ちに待った救い主が私たちのところに来てくださる、その足音に耳を傾けながら過ごします。心の耳を澄まし、同時に、注意深く、目覚めていなければなりません。耳を傾けるためには、何よりも静けさが必要です。自分の内側にも、外側にも、静けさをつくるため、小林聖心の子供たちは、今年も「プラクティス」に努めながら、クリスマスを準備していきます。