中高生の皆さんへ
こうして、毎日、私が考えたり、感じたりしていることを分かち合うことができて、とても嬉しく思っています。今日、紹介したいのは、私の大好きな絵本「せかいのひとびと」 です。オランダ出身のアメリカ人ピーター・スピアーが絵と文を書いています。(日本語訳 松川真弓)
この本は、世界は多様性に満ちていてとても豊かだということを、独特の絵と楽しい語調で伝えています。絵を見ているだけでも飽きることのない、子供から大人まで楽しめる本です。世界に何億人いようが、一人として同じ人間はいないという書き出しに始まり、まず人の顔がたくさん出てきます。目・鼻・口・耳など、人間の身体にまつわる違いをユーモアたっぷりに紹介します。続いて、衣服、住居、食物、遊び、宗教、そして、文字や言葉にいたるまで、ページをめくる度に、人間がそれぞれの風土の中で築き上げてきた文化の多様なあり方に、読者をどんどん引き込んでいきます。
たくさんの異なるものを紹介した後、「みんな 同じ地球で くらしているんだし 同じ空気を すって 同じ太陽に てらされているんだ」という言葉が目に入ります。もちろん頭では知っていることですが、会ったこともない、これほど異なるものを一杯抱える世界の人々に、改めて親近感を覚える場面です。
最後の4ページが特に私の好きなところです。あまり色のない街の絵に、「だれもが 思っていることも 食べるものも 着るものも なんでも ぜんぶ 同じだったら 死ぬほど たいくつ。」そして、ページをめくると、色とりどりの活気あふれる街に加えて、こんな言葉が飛び込んできます。「ほらね わたしたち みんながみんな それぞれ こんなに ちがっているって すてきでしょう?」
新型コロナウィルスの問題を抱える世界が、互いへの警戒心を強め、他国を責めたり、批判しあったりするのはとても悲しいことです。今回のことで、ウィルスに国境はないのだということを、誰もが感じていることでしょう。今こそ、世界の人々が協力しながら乗り越えていくことができますように。そして、多様性の豊かさがもっと尊重される世界を築いていけますように。