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小学校
校長より
2021.11.22
丘の学び舎 その149

先週の木曜日、11月18日は、聖心女子学院の二人目の聖人、聖フィリピン・デュシェーンのお祝い日でした。世界中の聖心女子学院でこの日をお祝いしますが、アメリカでは特に大きなお祝い日です。聖フィリピン・デュシェーンは、フランスからアメリカに渡って現在のアメリカ・カナダの聖心女子学院25校をはじめ、南北アメリカ大陸の聖心女子学院の礎を築いていくださったからです。
歴史は、1818年に遡ります。ヨーロッパの女性がアメリカ大陸へ渡って開拓の一翼を担うことは珍しい時代です。5人の聖心会のシスターは大西洋の荒波を越えてアメリカに渡ると、中西部の都市セントルイス、セントチャールズを皮切りに、次々と学校を設立していきました。子供たちの教育に尽力する一方、土地を開墾して作物を育てたり、家畜の世話をしたりと、朝から晩まで働きづめの日々が続きました。
もう20年以上も前のこと。初めてセントルイスの町を訪問した際、開拓記念のモニュメントに刻まれた開拓者の名前の筆頭に「Philippine Duchesne」を発見した時の感動は、今でも忘れることができません。聖心女子学院を始めたということもさることながら、アメリカという土地に根付き、アメリカを拓くことに一生を捧げた女性なのです。フィリピン・デュシェーンが聖人の位に挙げられたのも、フィリピンが愛してやまなかった先住民族ポトワトミの人々との間の友情があったからこそです。
毎年、このお祝い日の頃になると、「Crossing Frontiers」というフィリピンの生き方を思い出します。地理的、文化的、あるいは、人と人との間の様々な境界を越えることの大切さ、そして、それは自分にとって居心地のよい小さな枠組みから一歩出ていくことから始まるのだということを教えてくれます。グローバルな時代、そして連帯が求められる時代に、忘れてはならない姿勢です。今年も生徒と共に聖フィリピン・デュシェーンへの祈りを捧げながら、私たち自身「Crossing Frontiers」を生きる恵みに与ることができるようお祈りしました。

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