先週の土曜日、感染予防対策を講じた上で、高校卒業式が挙行されました。例年より規模を縮小し、歌も歌えない卒業式でしたが、とてもよい卒業式でした。特に、今年度は、全く想定外の状況の中で高等学校最高学年を過ごした12年生を送り出すのですから、万感胸に迫る思いでした。
「その学校がどういう学校かは卒業式を見ればよくわかる」と、ある経験豊かな先生から伺ったことがあります。式の中で行われること、歌、式辞や謝辞、送辞、そして何よりも卒業生の佇まいに、その学校が大切にしているものが表れてくるからでしょう。いわゆる「学校の空気」がそのまま表れる場が卒業式なのです。小林聖心の卒業式は、何といっても、「おごそか」という言葉があてはまるのではないでしょうか。呼名での「はい」という声。立ち座りの音と、語られる言葉の響き、そして、通常であれば、在校生と卒業生それぞれの歌声。聞こえてくるのはそれだけです。他には何もない、卒業式に必須な要素しか入っていません。シンプルといえばシンプルです。飾り気や情感が抑えられ、ピンと張りつめた空間の中に、何ともいえない穏やかで温かな空気が流れるのです。その場に身を置いて初めて実感できる空気かもしれません。
私の知る限り、長年、校長式辞の最後は、「小林聖心は皆様の母校であり母港(母なる港)です。立ち止まりたくなった時には、両手を広げて待っていてくださる『イエスのみこころ』を思い出し、どうぞ帰ってきてください。」という言葉で締めくくられます。生徒たちがこの学校を去る時、あの「みこころのご像」のように先生方が自分をまるごと受け止めてくれた、という経験とともに巣立っていってくれることを願ってやみません。この思い出さえあれば、「一人ひとりが神の愛を受けたかけがえのない存在であることを知り、世界の一員としての連帯感と使命感を持って、より良い社会を築くことに貢献する賢明な女性」に、必ず成長していくことでしょう。
今年もそんな願いを込めて、112名を送り出しました。今年度の目標通り、「希望のつくり手」となって、世界へ広がっていきますようにと願いながら・・・。
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校長より
2021.02.15
丘の学び舎 その109