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校長より
2020.09.14
丘の学び舎 その87

朝晩は秋らしくなってきましたが、まだまだ残暑厳しい9月です。早いもので前期の終わりが近づき、中高生はいよいよ期末考査です。
ところで、小中高の校長を務めていて何よりの喜びといえるのは、1年生から12年生まで、12年間の女の子の成長を目の当たりにすることができるということです。ランドセルが歩いているようだった子どもたちが素敵な女性になって学校を巣立っていく姿には、感慨深いものがあります。
先週のある日のこと、昼食準備の時間に小学校1年生の教室前廊下を歩いていると、子どもたちに周りを取り囲まれました。それぞれが思い思いに話しかけてきます。その中の一人が「シスターもここで一緒にお弁当食べればいいのに。」と言ってくれました。なんと嬉しいお招きでしょうか。中高では考えられないことですので、思わず顔がほころびました。
聖心の教育の根本に、「発達段階に応じた教育」という考え方があります。19世紀初頭の創立者聖マグダレナ・ソフィアの時代に、現代のような心理学はまだ誕生していませんでした。しかし、学校を始めるや否や、いち早く学習指導要領を完成させた創立者は、それぞれの教科ごとに、教授法や学習内容、教材を発達段階に応じて考慮するよう、学習指導要領の中で書き著しています。そして、その発達段階の区切りは現代の発達心理の考えにもそのままあてはまることに驚かされます。
人間の教育には、その段階でしておかなければ、あとで補うのは容易でないことがあります。あるいは、その段階の子どもたちに最も相応しい知的訓練を通して授業を展開することを、教師は心得ていなければなりません。創立者はよく、「家を屋根から建ててはいけません。」と仰いました。フランス語では、急いで見栄え良く物事を仕上げることを、「家を屋根から建てる」というそうですので、子供を育てる時には、急いで見栄え良く仕上げようとしてはならないという教訓でしょう。スピードを競い合う時代ですが、18歳までに、やるべき年齢でやるべきことを積み上げていくということを、これからも大切に実践していきたいと思います。

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